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やまむらたかし-山村高史,


やまむらたかし-山村高史

  1. パワハラ
  2. 殺人
  3. 自殺
被害者は執拗な攻撃を受けて自殺に追い込まれた訳で未必の故意殺人事件といってよい。

でもどうして、その行いが放置されていたのか、企業側の説明は何もない。再発防止に取り組むとあったが、そのための調査分析なども示されていない。

パナソニックの名前を付けるのだから、グループガバナンスの関連もあったかもしれない。

本体が臭い物に蓋をするのか、根本、本質を見えるようにしてくれるのか。

自殺は2019年2月。明るみに出るまで1年経過している。その中での会社側の説明は、今初めて知って、これから何かにとりかかるようなスタンス。駄目でしょう。社会的責任を全く果たしていない。

親会社も同様だ。

/

内定者SNSが特殊な空間な訳はない。運用管理者にも何か言うべきだろう。



以下関連ニュース記事を長文のまま。閲覧はオリジナルサイトにてお願いします。

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20200413-00172999/

内定者SNSからパワハラ自殺が出た真相~パナソニック子会社で内定者自殺事件


石渡嶺司  | 大学ジャーナリスト
4/13(月) 8:50

叱責を受ける内定学生(写真はイメージ)。行き過ぎた言動はパワハラになる。(写真:アフロ)


◆パナソニック子会社の内定者が自殺

4月上旬と言えば、例年なら入社式が終わり、新入社員が始まっている時期です。

少なくとも昨年、2019年はそうでした。

その入社式も新入社員研修も迎えることがないまま、内定者が自殺する事件が同年に起きていたのです。

2020年4月9日、遺族の代理人などがこの内定者自殺事件について、記者会見を開きました。

パナソニックの子会社、パナソニック産機システムズの人事課長が内定者SNS上で内定学生を罵倒。追い詰められた内定学生が人事課長のパワハラに悩み、入社直前となる2019年2月に自殺したのです。

代理人らは、遺族への謝罪、損害賠償や関係者の処分、再発防止策などを求めました。
◆内定者SNSで人事課長が罵倒

会見した川人博弁護士によると、死亡した男子学生は2018年春にパナソニックの完全子会社「パナソニック産機システムズ」(東京)から新卒採用の内定を得た。同社では内定者への研修の一環として、SNS交流サイトに内定者20人を全員登録させていた。人事課長(当時)は、このサイトに毎日ログインして投稿にコメントすることや、課題として出された本の感想を投稿することなどを求めたという。

※朝日新聞2020年4月10日朝刊「内定者、パワハラで自死 パナ子会社『行き過ぎ』認める 内定者SNS 毎日投稿強要」

記事中では「SNS交流サイト」、記事見出しでは「内定者SNS」とあります。

本稿では以下、後者を使います。

就活関係者以外ではなじみのない内定者SNSとは、内定者と内定先企業の社員が利用するSNSです。
パナソニック産機システムズの内定者パワハラ自殺事件についてのコメント(同社サイトより)

付言しますと、内定先企業が独自にシステムを開発するよりは、内定者SNSの運営企業に利用料を払ったうえで利用するケースが大半を占めます。

内定者SNSの詳細や、なぜ、FacebookやLINEのグループではダメなのか、という一般読者の方の疑問は次項でご説明します。

まず、前提として、この内定者SNSに書き込みができるのは、内定学生と内定先企業の社員(大体は採用・人事担当部署所属)のみです。

そして、入社前とは言え、採用・人事担当部署に所属する社員と内定学生の間には、すでに見えない人事力学と言いますか、上下関係ができています。

男子大学生は18年6月に人事担当課長(50歳代)と内定者らの交流サイトに登録。人事担当課長は同7月頃から、このサイトへの書き込みが少ない内定者を非難し、翌8月には男子大学生に「邪魔だと思ったら全力で排除にかかる」と記したメールを送っていたという。

19年2月には、男子大学生が海外旅行に行った直後に「海外行くなら、行く前に断れ」「空気、読めているか?」などとサイトに投稿。男子大学生は友人に「死にたい」と打ち明け、同月19日に自殺した。

※読売新聞2020年4月10日朝刊「内定者自殺『人事のパワハラ』 パナ子会社 遺族が賠償要求へ」

朝日新聞記事の有料版限定記事(2020年4月9日公開)では、この人事課長のパワハラについて、もう少し記述がありました。

人事課長(当時)は、このサイトに毎日ログインして投稿にコメントすることや、課題として出された本の感想を投稿することなどを求めたという。

「誰がいつサイトに入っているかは人事側で見えています」

「毎日ログインしていなかったり、書き込まない人は去ってもらいます」

川人弁護士によると、18年7月ごろから人事課長がSNSに投稿するこうした言葉で次第に追い込まれていった。書き込みが少ないといった理由で内定者をSNSから排除したり、「無理なら辞退してください、邪魔です」などと内定辞退に言及したりしたほか、「ギアチェンジ研修は血みどろになるくらいに自己開示が強制され、4月は毎晩終電までほぼ全員が話し込む文化がある」などと入社後の過重労働を示唆したりしていたという。
◆内定者SNSに毎日書き込みを要求するカラクリ

朝日新聞、読売新聞の記事から、人事課長のパワハラがあったことは明らかです。

ここで、一般読者の方は、人事課長のパワハラコメントに驚きつつも、「毎日ログイン」などが不思議に思うに違いありません。

内定者SNSの目的は、言うまでもなく、内定辞退防止、それから内定辞退者の早期発見の2点があります。

コロナショックで一気に就職氷河期となりそうですが、少なくとも2020年3月卒までは、長い売り手市場にありました。

学生が有利な売り手市場であれば、就活生は複数の内定を得ることになります。それから、内定承諾をした後も、内定辞退をする就活生も珍しくはありませんでした。

企業からすれば、手間暇かけて内定を出した以上、そう簡単に内定辞退をされては困ります。そこで、内定辞退防止策を色々、講じることになります。その一つが内定者SNSであり、実際に一定の効果は見られました。

その結果、多くの企業が利用することになり、その一社がパナソニック産機システムズだったのです。

この内定者SNS、主となるのは言うまでもなく、内定学生です。

もし、内定先で働く意欲があれば、内定者SNSにも積極的に書き込むようになります。一方、内定辞退を考える学生であれば、内定者SNSへの参加意欲はそれほど高くありません。

そのため、内定者SNSを利用する企業・採用担当者からすれば、内定者SNSへの参加意欲の有無から辞退するかどうか、見当が付けられます。

私はこれまで内定者SNSを利用している採用担当者を多く取材しています。

その際に、彼らの多くが言っていたのが、書き込みの少ない学生は内定辞退をしやすい、という点でした。

そりゃあ、内定学生が辞退する気なら内定者SNSなんか、参加する気にもなれないだろう。ただ、こちらとしては、書き込みが少ないからと言って、無理には追い込まない。内定辞退はもはや、売り手市場では当たり前。ご縁がなかった、と諦めるしかない。

それよりは、書き込みの少ない内定学生がどこかのタイミングで辞退するだろう、と見当をつけて、補充採用などを検討する。そういった点で内定者SNSは判断材料となる。

しかし、パナソニック産機システムズの人事課長はそうではありませんでした。それどころか、内定者SNSへの書き込みを強要する投稿すらしています。

これは内定を出した以上は辞退者を出さない、という強烈な思いがあったからなのでしょう。
 

◆LINE・Facebookより内定者SNSがいい理由

内定者SNSは利用企業が運営企業に利用料を支払うことになります。

主な内定者SNS運営企業は以下の通り。

※会社名・サービス名の順

EDGE:エアリーフレッシャーズ

サーフボード:ちゃくちゃくNEXT

プロシーズ:内定者パック

パフ:パフ内定者・新入社員コミュニティシステム

グロービス:グロービス学び放題フレッシャーズ

エブリ―エブリONE

マイナビ―ACCESS ON LINE Fresher’s

運営企業によっては新入社員研修まで含めるところ、スマホのみのところなど、サービスは様々ですが、ここでは省略します。

これだけ、運営企業がある内定者SNS、「なぜ、LINEやFacebookのグループではだめなのか?」と一般読者の方は思われることでしょう。

LINEやFacebookのグループの場合、言うまでもなく、無料でグループを作ることができます。

ただし、情報漏洩のリスクが高い点から、内定学生同士だけならともかく、採用担当者も入る手法としては敬遠されやすいです。

それと、採用担当者・内定学生の双方がプライベートで使うLINEやFacebookでつながっていいものか、という問題も大きなところ。

内定者SNSだと、そうした気兼ねがありません。

利用企業・採用担当者からすれば、内定者SNSは課題提出などを求めやすく、一覧性にも優れている、というメリットもあります。
 

◆距離感を間違えると逆効果

内定者SNSを利用する企業の採用担当者は、今回のパナソニック産機システムズの事件に驚きを隠しませんでした。

これまで、内定学生の辞退防止や辞退者の早期発見に役立っていたからです。

今まで内定者SNSを使ってきて、内定学生と距離を縮めることができた。利用してから早期退職者も減ってきている。それが、今回の事件が起きたことで相当、驚いている(エンターテイメント関連)

採用関連の予算は効果が見えにくい分、役員などへの説明が面倒。それでも、今までは内定者SNSについては、「辞退防止に役立ちますから」と説明しやすかった。今回の事件で「あのパナ子会社がパワハラしたサービスでしょ?」と役員から聞かれる。自分としてはこのまま利用したいが、予算が下りるかどうか…(IT)

私が内定学生に内定者SNSを説明するとき、それから、最初の書き込みでは「どんどん書き込んでね~」くらいは出します。しかし、パナソニック産機システムズの人事課長は「書き込まない人は去ってもらいます」でしょ?この時点で、強すぎますよね(専門商社)

パナソニック産機システムズの人事課長については、「内定学生との距離感がそもそも間違えていた」との指摘もありました。

内定学生の自殺、という一番あってはならない事件を起こしてしまった。この人事課長が内定学生との距離感を間違えている。内定を出したとは言え、一連の投稿・コメントはどう考えてもパワハラ。内定辞退に追い込んでいるとしか思えない。辞退だけで済む話ではなく、内定学生によっては大学キャリアセンターや労働問題に強い弁護士に相談していただろう。そうなれば、自殺事件ほどでないにせよ、社のイメージは相当傷ついていたに違いない。まともな採用担当者なら、そのあたりまで読んでいるものだが…(食品)
 

◆繊細なタイプの学生は苦痛でしかない

社会人・学生、ともに性格や趣味・嗜好は様々です。

強い言い方・言われ方を好む人もいれば、そうでない人もいます。

強い言い方(あるいは叱責・叱咤激励)は、状況によっては有効な場合もあります。

当然ながら、その逆に強い言われ方によって、傷つく人もいます。

パナソニック産機システムズの人事課長は、意識的に強い言い方や投稿をしていたのでしょう。

昭和的な感覚であれば、強い言い方を学生にするのは有効です。

が、今は平成どころか、令和の時代。

繊細なタイプの学生からすれば、苦痛でしかありません。

昭和であれば、強い言い方に対して「それは繊細すぎる」「ナイーブだ」の一言で斬り捨てられていました。

が、現代は繊細なタイプの学生や若手社員にも一定の配慮が求められる時代です。

そうした配慮が、この人事課長にはなかった、と言わざるを得ません。
 

◆問題の課長は以前から自己過信だった

実はこのパワハラ事件を起こした人事課長と私はちょっとだけ接点があります。

私が以前から参加していた採用担当者などが集まる勉強会にこの人事課長氏も参加。その後、この勉強会で何度か一緒となりました。

この人事課長氏は大手IT企業で研修を担当。その後、パナソニックの経営理念を広める研修事業を担当することになりました。その縁から、パナソニック産機システムズの人事課長に就任した、とのこと。
 

◆「耐えられる強い自我」を強調

私は、その後、2016年に同社の1日インターンシップにも見学に行っています。

一応、人事体験とはなっていましたが、実質的には、この人事課長氏による講演(悪く言えば説教)が7割を占めるものでした。

それも冒頭から、かなり強めの表現が多数。

別日程で見学した知人の採用担当者は「社会人研修という原液を薄めずに就活生に受けさせている」と表現していました。

社会人の私からすれば、言い得て妙、というところ。

完成度が高いセミナーでしたし、いくつかは勉強になった部分もあった、と感じていました。

それは今でも変わりません。

とは言え、言い方としてはこの人事課長氏だからできることであり、私はとてもできないな、というものでした。

昼休憩のときには、参加学生が、

「言いたいこと、言っているだけだよ、あれは」

と話しているのを聞いたほどです。

当時は、この参加学生に対して違和感を持ちましたが、自殺事件が起きた今となってはこの学生の方が正しかった、と言えます。

人事課長氏とは、このインターンシップ終了後にメールのやり取りがありました。その中で同氏は、自身が企画したインターンシップの意義を強調しています。

学生の認識を崩壊させて再構築するために、あのインターンシップをやっています。口が悪い人は洗脳というかもしれないですが、砂上の楼閣を強化したところで意味がないと思っています。

少し粗療法ですが、再構築します。

それに耐えられる強い自我を育んできた学生がターゲットです。

耐えられない学生は、僕の話なんか聞き流せばいいと思っています。

話す中でいつも言っていますが、確かにアイデンティティが崩壊しかねないと思います。しかし、当社の内定者や新入社員がすばらしいのは再構築を怖がらないどころか、そこに本当の自分を見つけてくれることです。自分の生き方を見つけてくれることです。

今にしてみれば、「認識を崩壊させて」「耐えられる強い自我を育んできた」といったあたり、そりゃあ、パワハラを起こすよな、と思わせるに十分な記述です。

「当社の内定者や新入社員がすばらしいのは再構築を怖がらないどころか」など、内定学生に「邪魔です」などの書き込みが確信犯であることは明らかでしょう。
 

◆都市伝説に対して「正確さは二の次」

このインターンシップで、もう一つ覚えているのが、身だしなみ・第一印象についての説明です。

この人事課長氏は説明にあたって、メラビアンの法則を使っていました。

ここで、社会学をちょっと勉強したことのある方なら、「ああ、あれ使っちゃうんだ」と思われることでしょう。

日本の就活において、身だしなみ・第一印象について説明する際に多く用いられるのが、メラビアンの法則です。

心理学者のメラビアン博士が発見した法則で「見た目・身だしなみ・しぐさ・表情など」55%、「声の質(高低)・大きさ・テンポなど」38%、「話す言葉の内容」7%という割合。

いくら話しても、言いたいことは7%しか伝わらず、第一印象で左右される、というものです。

アパレルや化粧品メーカー、写真館の担当者による就活マナーセミナーやビジネス研修では、ほぼ間違いなく、このメラビアンの法則が登場します。そして、パナソニック産機システムズの人事課長氏もその例外ではありませんでした。

さて、このメラビアンの法則、都市伝説、または、一種の俗流解釈に過ぎません。

はっきり申し上げると、不正確な引用です。

今から17年も前、2004年刊行でベストセラーとなった『反社会学講座』(ちくま文庫)の中で、随筆家のパオロ・マッツアリーノさんがこのメラビアンの法則の嘘くささを論破しています。

じつは、メラビアンの法則なるものは、存在しないのです。

(中略)

実際にメラビアン博士が行った実験とは、こういうものです。「たぶん(Maybe)」の一語を、さまざまな声質で録音し、それを被験者に聞かせてどのような印象を受けたかを調べる。また、さまざまな表情の顔写真を見せながら、「たぶん」の録音を聞かせる。これだけです。のちに、もう少し語彙のバリエーションを増やした追試を行い、その結果から例の55・38・7%の数字がはじき出されたのです。

メラビアン博士が行ったのは、表情と声の実験だけでした。身振り手振りや身だしなみといった要素は研修屋が勝手にくっつけたのです。

(中略)

 アメリカのAT&T研究所のリチャード・スプロートさんは、この法則を都市伝説(口コミで広まった、原典が不明確なお話)のひとつだと断じていますし、メラビアン博士本人もあるインタビューにおいて、「この実験結果を日常のコミュニケーションに適用することはできない」と認めています。

メラビアン博士本人が否定しているのに、なぜか、日本の就活セミナー・ビジネス研修ではやたらと多用されます。

面白いのは、これを私がセミナー講師に指摘したときの反応です。

間違いを修正するのか、と思いきや、それはそれは嫌われます。

私は過去10年間で、東京、鹿児島、大分、大阪、横浜、町田…、少なくとも10人に話して、10人全員がふてくされ、あるいは「こいつは第一印象の重要性を理解していない」と決めつけられた経験があります。

まあ、その10人はともかく、パナソニックの子会社で、そんな不正確な話をしてはパナソニックの看板が傷つくのでは、と思い、この人事課長氏にも都市伝説である旨、メールで伝えました。ついでに、そういう不正確なものを使うことに憂慮するキャリアセンター職員もいますよ、と。

すると、過去に嫌われた10人のマナー研修講師と同様、この人事課長氏も不愉快だったのでしょう。メールの返信で反論してきました。

おっしゃるとおりだと思います。

ただ、学校側の反応を見ると、やはり、学問の世界と我々の生きている世界にギャップを感じます。恐らく「正確さ」を問われているのでしょうが、僕達は二の次です。

話のキッカケ、象徴があればいいだけなのです。それを「怪しい」という取り方しかできないところにキャリアセンターの限界があると思っています。

誤解を覚悟で言えば、正確性なんかどうでもいいとさえ思っています。

自分達の見た目が如何にダメなのかということを学生の腹に落とし、行動変容をよぶことが目的で、正しい情報提供をすることが目的ではないです。

「正確性なんてどうでもいい」とご本人が言い切るのであれば、そうですか、としか言いようがありません。

そもそも、私の利害にかかわるセミナーではなく、パナソニック産機システムズのインターンシップでの話です。不正確さによって、パナソニック産機システムズが学生や大学から敬遠されたとしても、それは私の関与するところではなく。

ということで、この件はメールではそれ以上、俎上に上がることはありませんでした。

人事課長氏のセミナー内容やメールなどを精査していくと、今回のパワハラ自殺事件に通じる部分が多々あった、と感じています。


◆2019年の就活セクハラ事件と奇妙な共通点

昨年、2019年2月には大林組社員による就活生へのセクハラ事件が起きました。
大林組の事件についてのプレスリリース(同社サイトより)

事件の詳細や学生のリスク管理などについては、事件直後に記事としていますので、そちらに譲ります。

就活セクハラで逮捕者も~学生のリスク管理は(Yahoo!ニュース個人 2019年2月21日公開)

パナソニック産機システムズ・パワハラ自殺事件と大林組・就活セクハラ事件、両者には共通点があります。

それは、就活・採用における新しいシステムが、古い価値観・誤った価値観によって悪用されている点です。

新しいシステムとは、パナソニック産機システムズ事件の場合は内定者SNSであり、大林組事件ではOB訪問アプリでした。

それぞれ、きちんと運用し、企業・学生双方にとって利のあるものでした。

一方では、「まさかハラスメントなどの悪用はしないだろう」と性善説のもとに使われていた、とも言えます。

そのため、ハラスメントの意思を持つ人が使う場合、悪用できてしまうのです。

「人事採用担当者のためのブログ mitsucari(ミツカリ)」では、2018年1月10日に「内定者SNSとは?専用のコミュニティサイトを運用する目的や注意点」を公開しています。

この中で、記事執筆者は内定者SNSの意義を認めつつも、デメリットとして、「1.会社・同期との距離感に疲弊するリスクがある」「2.監視されている雰囲気が出てしまう」の2点を指摘しています。

過剰な接触や一方的な情報発信などで、企業側の熱意と内定者のモチベーションに大きなズレが生じると、SNSでの接触にネガティブな印象が出てしまう場合があります。

(中略)

SNSへの配信や交流の促進などは頻度が高すぎると、内定者が企業に監視されていると感じてしまう危険があります。

今回のパナソニック産機システムズ事件では、まさにこの問題点が内定学生の自殺、という最悪の結果を生んでしまいました。

パナソニック産機システムズは、パワハラ自殺事件について、

「採用担当者により、行き過ぎた指導が行われていたことは事実。男子学生の自殺の動機についても一部責任がある」と認めたとしています。

採用担当者の方には、内定者SNSの是非より、昭和で是とされ、令和では否定されている感覚を持っていないかどうか、再度、確認してください。

現代では認められない感覚をもったままだと、内定者SNSかどうかは関係ありません。LINEやFacebook、内定式、内定者懇親会など、今回の事件と同様の結果を生んでしまうことになりかねないきっかけはいくらでもあります。

そして、それがいかに就活生だけでなく、自身も企業イメージも大きく損ねることになってしまうのです。

図らずも、パナソニック産機システムズ事件はそのことを証明する結果となってしまいました。

亡くなった学生のご冥福をお祈りするとともに、こうした事件が二度と起きないことを専門家の一人として強く願います。

石渡嶺司 大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。2018年は肩書によるものか、バイキング、ひるおびなどテレビ出演が急増。ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。主な著書に『大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ)『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)『女子学生はなぜ就活に騙されるのか』(朝日新書)など累計28冊・55万部。

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