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はらだりゅういち-原田隆一


はらだりゅういち-原田隆一




  1. 点検不十分でも無罪と言うのは理解できない。シンドラーに執行猶予を付けたのも理解できない。命が軽い。




http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015092902000255.html

港区エレベーター事故 シンドラー点検責任者に無罪判決

2015年9月29日 夕刊

 東京都港区のマンションで二〇〇六年六月、都立高二年の市川大輔(ひろすけ)さん=当時(16)=が自宅マンションのエレベーターに挟まれ死亡した事故で、東京地裁は二十九日、業務上過失致死罪に問われた製造元の「シンドラーエレベータ」の点検責任者だった原田隆一被告(46)に無罪(求刑・禁錮一年六月)を言い渡した。杉山慎治裁判長は「原田被告が点検を担当した二〇〇四年十一月時点では、ブレーキの異常摩耗が起きていた客観的な証拠がなく、過失責任がない」と述べた。 
 保守点検会社「エス・イー・シーエレベーター」会長鈴木孝夫被告(72)には禁錮一年六月、執行猶予三年(求刑・禁錮一年六月)▽同社長西村裕志被告(56)は禁錮一年六月、執行猶予三年(求刑・禁錮一年四月)▽元メンテナンス部長根本邦男被告(69)は禁錮一年二月、執行猶予三年(求刑・禁錮一年二月)の有罪判決を言い渡した。三人は控訴する方針。
 公判では、事故原因とされる事故機のブレーキ部品の異常摩耗の発生時期が、最大の焦点だった。事故機は、大輔さんの事故の約一年半前の〇四年十一月にも不具合が発生しており、原田被告はその際の点検責任者だった。シンドラー社は〇五年三月まで保守管理を担当していた。
 判決は鑑定結果などから「検察側が主張した〇四年十一月時点では、摩耗が発生したと認められる科学的な証拠がない。摩耗は、大輔さんの事故が発生する九日前、エス社が最後に事故機を点検した〇六年五月時点では発生していた」と認定した。
 その上で、〇六年四月から事故機の保守管理を引き継いだエス社側については「〇六年四月時点で、エレベーターの構造を十分に調査し、保守点検員に理解させるなど適切な保守管理体制を構築していれば、摩耗に気付くことができた」と過失責任を認めた。
 四人は、点検時点では異常は起きておらず、事故を予測できなかったと無罪を主張していた。事故では、原田被告の上司の元東京支社保守部長も同罪で在宅起訴されたが、公判中に病死したため、公訴棄却となった。
◆安易な点検許されない
<解説> 二〇〇六年に起きたシンドラー社製エレベーター事故の判決で、有罪と無罪の判断を分けたのは、事故機のブレーキ部品の異常摩耗の発生時期だった。発生時期に関する直接証拠がない中、刑法の業務上過失致死罪の成立要件である「事故を予測できたか」について、実験結果などに基づき厳密な判断を示した。
 判決は「知識と経験があれば、点検員の視覚や聴覚など五感の作用により保守点検できる」というエス社とシンドラー社の主張を退けた。エレベーターの構造などを十分に把握した上での点検体制が必要とし、安易な保守点検は、絶対に許されないという姿勢を強く打ち出したといえよう。
 既に事故から九年余り。遺族の地道な働き掛けをきっかけに、国は、エレベーターの二重ブレーキの設置や建築確認申請時に保守マニュアルの添付を義務づけるなどの対策をとった。だが、対象は〇九年九月以降に設置されたエレベーターに限られ、それ以前に設置された五十万基以上のエレベーターは対象外のままだ。
 四人の被告が起訴された後の一二年には、金沢市でも同じシンドラー社製のエレベーターで死亡事故が起きている。国やエレベーター業界の関係者は判決の指摘を踏まえ、利用者が安心してエレベーターに乗れるよう、一日も早く抜本的な再発防止策を打ち出すべきだ。 (加藤益丈)
 <東京都港区のエレベーター事故> 2006年6月3日夜、都立高2年の市川大輔(ひろすけ)さん=当時(16)=が自宅マンション12階でエレベーターを降りようとした際、扉が開いたまま、かごが突然上昇し、エレベーターの床と乗降口の天井部分に挟まれて死亡した。

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