にしやまじゅんこ-西山淳子
- 西山淳子被告(67)
- 学校法人西山学園大和幼稚園
- やまと幼稚園
- 神奈川県大和市
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http://www.sankei.com/region/news/141231/rgn1412310019-n1.html
2014.12.31 07:03更新
【取材余話 2014年師走】
園児プール死亡事故裁判 神奈川
■「安全対策につなげて」遺族の思い
大和市の学校法人西山学園大和幼稚園の室内プールで平成23年7月、水遊びをしていた伊礼貴弘ちゃん=当時(3)、同市鶴間=が溺れて死亡した事故。業務上過失致死の疑いで起訴された元担任の女性教諭(24)=罰金刑が確定=と元園長の西山淳子被告(67)の公判には毎回、貴弘ちゃんの両親の康弘さん(40)と利奈さん(39)の姿がある。裁判の行方を見守り続ける2人の胸のうちにあるのは「息子(長男)の死に意義を見いだしたい」という強い思いだ。
事故が起きたのは、23年の7月11日。プール授業の後片付けをしている最中に、貴弘ちゃんがうつぶせに浮かんでいるのを、別のクラスの担任教諭が発見。抱き上げた貴弘ちゃんは既に意識がなかった。貴弘ちゃんのクラス11人を担任していたのは新任の教諭だった。
公判では、検察側は園側に、担任教諭のほかに監視員を設けるなどの危機対策を取らず、新任教諭への安全指導が十分でなかったと不備を指摘した。
これに対して弁護側は、新任教諭に対し事前にプリントを用いた講習を行うなど十分な指導をしていたとし、「プール活動を複数で監視する義務づけはない」と反論した。
かけがえのない愛息の死。事故後しばらくは、2人とも呆然(ぼうぜん)となったが、気持ちが変化したのは、幼稚園が事故後、保護者に向けて開いた説明会の様子を録音で聞いてからだった。
園側は、事故状況と対応を時系列で説明。西山被告は「水を吐かせたとき固形物が出てこなくて、風邪ひいてたのかなって、体温記録を見たら(普通は変化があるはずなのに)1カ月ずっと36度だった」と声を震わせながら話していた。
これを聞いた利奈さんたちは「事実と違う」と怒りに震え、弁護士を通じ抗議文として事故状況の詳細な説明や、関わった教諭の退職などを園側に求めた。
西山被告は説明会の発言について、文書で「ご遺族の名誉を傷つける意図は全くなかった。体温は職員の口頭伝達による誤り。事実確認を行わずに誤解されるような説明をしてしまい、誠に申し訳なく思っている」などと陳謝した。
だが、園は設置した事故調査委員会の報告書を「私法人内で起きた被害が広範囲に及ばない事故で公共性がない」ため外部に公表しないと回答。既に西山被告が園長を辞任していたため、それ以上の関係者の処分も拒否した。
警察の取り調べが進み、西山被告らが在宅起訴されたのは、事故から2年たった25年の8月だった。
大和幼稚園の安全対策をめぐり、法廷では検察側、弁護側双方が証人を立てている。
検察側の証人尋問で出廷した東京都小平市の幼稚園園長(53)は「新任教諭は一生懸命さゆえに全体を見られないことが普通。1人に任せるのは怖くてできない」と語り、「監視の担当者を置かずにプール活動を実施している園は見たことがない」と強調した。
一方で、弁護側の証人尋問で出廷した寒川町の幼稚園の園長(67)は「担任1人でプール活動をしている幼稚園もあった」と話し、「目が行き届けば1人で十分という認識だった」と述べた。
大和幼稚園に法的過失があったのか、なかったのか。それは判決を待たねばならないが、少なくとも貴弘ちゃんの事故を「不幸な不慮の事故」として片付けるべきではない。全ての園で同様の事故が起こる可能性を否定できないからだ。
名古屋大学の内田良准教授(教育社会学)は「教育現場の多くの事故は『不可抗力』とされる。そのため、次の事故を起こさないための事実究明と共有が行われていない」とし、事実究明と情報共有の重要性を強調する。
事故を受けて今年6月、県私立幼稚園連合会が「幼稚園プール安全管理ガイドライン」を発表するなど、安全確保への歩みは始まったが、康弘さんは「対策が本当に進んだとは思いません。国や県が、何か新たに対応したわけではない」と話す。
「息子の死に何か意味を与えたい。意味が生まれて、ちゃんと前に進める気持ちになりたい」
貴弘ちゃんの事故から3年半になろうとするが、教育現場は、事故が問いかけた「再発防止」への抜本的解決策をいまだ見いだせないでいる。
大和幼稚園は産経新聞の取材に対し、「まだ裁判中なので、発言は控えさせていただきます」と回答している。(岩崎雅子)=おわり
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注意義務を怠ったであろう担任の女性教諭(24)が罰金刑で済まされていることに疑問がわく。是4んたいの管理責任は園長にあるから逃げ隠れするような行為・態度には人間として疑問を持つが、女性教諭の責任も劣らず重いはずだ。マニュアルがあろうがなかろうが、訓練や説明を受けていようが居まいが、小さな子供をプールに入れたら危険なことは何処の誰でも知っていることだ。担任教諭は普通以上に注意すべき義務があったことに疑いはないだろう。
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