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かすがのみほ-春日野美保


かすがのみほ-春日野美保


http://www.asahi.com/articles/ASGCC3W3LGCCUTPB003.html

生活保護、7市区から不正受給 なぜできたのか?

山本知佳

2014年12月13日11時39分

写真・図版春日野被告が生活保護を受給していた自治体と受給期間

 東京や神奈川の複数の自治体から同時に生活保護を受けたとして詐欺罪に問われている女がいる。これまでの捜査や公判で少なくとも七つの市区から不正受給していたことが判明。なぜそんなことができたのか。

 住所不定、無職の春日野美保被告(48)は2009年5月から東京都三鷹市で生活保護を受けていたのに、神奈川県の相模原、川崎、藤沢の3市からも計約270万円の生活保護費を不正に受け取ったとして起訴された。

 発覚は偶然だった。静岡市の百貨店で衣類などを万引きした窃盗などの容疑で1月、静岡県警に逮捕された。その際の所持品は下着などの着替えと財布などが入ったかばんだけ。保護費の給付袋や携帯電話に残った複数の自治体の福祉事務所との通話履歴から容疑が浮上した。

 静岡地裁での公判では、ほかに東京都の文京、豊島、世田谷の3区と武蔵野市からも、11~12年に保護費を受け取っていたことを認めた。捜査関係者によると、7市区から2年半で計約570万円を不正受給していたとみられるという。

 手口は単純だった。

 「『住む場所がなくなった』と役所の窓口で言えば保護してもらえた」。11月からたびたび勾留先の静岡刑務所で取材に応じた春日野被告は、こともなげに言った。

 福祉事務所など各自治体の窓口で「友人と暮らしていたが追い出された。お金もない」などと訴えると、自治体の多くはまずホームレスの一時宿泊施設などに入れてくれた。当座の生活費を手渡され、その間にアパートを探すよう指導されたという。アパートに数カ月住んだこともあれば、施設から姿を消したこともあった。

 「通帳は持っていない」と伝えていたため、保護費は自治体から支給連絡があれば、窓口に出かけて受け取った。「黙っていなくなっても役所は私を捜しにこない。住んでいないんだから受給をやめろと言われればやめたが、言われなかった」。受け取った金は「食費などの生活費や薬代、タクシー代にすべて使った」。1カ所に定住しなかったのは「近隣とトラブルになったり、役所の対応に腹が立ったから」。面会では冗舌で時々笑顔も見せたが、役所を批判するときには鋭い目つきに変わった。

 被告は東京生まれで、両親と3人暮らしだったと話す。専門学校卒業後、事務職として複数の会社に勤めた。だが10年前に体調を崩して働けなくなり、生活保護で一人暮らしをしてきたという。「社会復帰したらまた生活保護を受けると思うが、その中から返していきたい」

 不正はなぜ見過ごされたのか。生活保護は住民登録がなくても居住実態があれば申請できる。自治体は申請者の住民登録や通帳などから、資産状況やほかの自治体から既に支給されていないかを確認する。

 ただ、生活保護の受給者情報は自治体間では共有されない。申請者が故意に以前の住所を隠せば、気づくのは難しいという。被告に生活保護費を渡していた自治体によると、同被告は以前、東京都新宿区に住民登録があったが、当時はすでに抹消されていた。相模原市の担当者は「(被告は)以前住んでいた場所についてもあいまいな話を繰り返すだけだった」という。

 地方自治体が12年度に把握した生活保護費の不正受給は約4万2千件、総額は約191億円に上る。

 生活保護に詳しい吉永純・花園大教授(公的扶助論)は「自治体間の情報共有がないことや住所不定者はまず保護されることなど、一般にはあまり知られていない制度の死角をつかれた形だ」と指摘。その上で「生活保護は高度な個人情報。自治体間でやりとりすれば情報漏れのリスクも高まり、共有すべきでない。だが保護開始後の最初の3カ月は、できるだけ訪問の頻度を増やすなど、調査を徹底するべきではないか」。

 検察側は懲役4年を求刑。判決は16日に言い渡される。(山本知佳)



果たしてこれは犯罪なのか?
  • 貧しい女が役所の窓口で放浪者のように困窮を訴えるとお恵みが得られる。お恵みを与える方は自分の金でないからほいほい与える。与えないで餓死でもされたら自分に火の粉が飛んでくるから何も考えないで一件落着。
  • これがもし犯罪なら、公務員側の犯罪でしょう。職務怠慢、税金の無駄遣い、仕組みの改善への取り組みゼロ。普通の会社ならクビでしょう。7市区の担当を集めて本音・本気の座談会でもさせてはどうか。これは不正受給問題ではなくて不正支給問題?。